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寺島実郎、「世界を知る力」を読んだ

2010 年 1 月 23 日 土曜日

世界を知る力

寺島実郎を評価するのは難しい。その容貌を見ただけでも、十分に、「ひとかどの人物」であり、さらに、この「世界を知る力」で示した見識の広さ、深さは、それを証明するのに十分だとさえ言える。

一点。たった一点腑に落ちないところがある。それは、世界を知る力というタイトルの本の中で、インターネットの進化をちゃんと評価していないところだ。

ご存じの通り、インターネットは、数年前に「ウェブ進化論」が書かれ、Web2.0に入ってから、そのコミュニケーション性をますます高め、現在のTwitterへと進化してきた。

俺が残念だと思うのは、歴史は一度進んでしまえば、もう後戻りできないということだ。

少し前に、養老孟司は、雑誌「考える人」の中で、インターネットについて、「インターネット上にあるものは、全て過去のものだということを認識する必要がある」という意味のことを書いて、インターネットを評価していて感心したものだった。

しかし寺島実郎は、何も書かない。漏れているかもしれないが、この本以外のところでも、書いているのを見たことがない。

ところで先の養老孟司のインターネット評は、中々に見事で、Web2.0に代表される、コミュニケーション性を敢えて無視しながら、インターネットの真実だけを簡潔に述べている。今、多少なりとも世の中を語ろうとするものは、最低限、こうしてちゃんとインターネットを否定しておくことが必須なのである。

寺島実郎「世界を知る力」は、論客寺島実郎の見識を示し、読者に有益な情報、ものの見方を伝えるという点では非常に優れた書籍だろう。読む価値は十分にあると言える。

ただ、著者寺島実郎に関して言えば、やはりあと一歩足りないというのが俺の評価である…(笑)

今月号の中央公論に、養老孟司寄稿

2010 年 1 月 22 日 金曜日

中央公論2月号

「東大は賞を出すほうだ。もらうほうじゃない!」。かつて京大出身の利根川進氏が、ノーベル賞を受賞した時、また京大出身の研究者がノーベル賞を取りました、との電話に対して、養老孟司はこう言って電話を叩き切ったという。

今月号の中央公論は、「大学の敗北」という特集をやっており、その中(巻頭)に、養老孟司の文章が掲載されている。

養老孟司と言えば、数年前、新潮新書が創刊された際に出された「バカの壁」の大ヒットを思い出す人も多いと思うが、このようなベストセラーを持っている割には、その著書は決して多くはない(目に付くものが少ない、と言ったほうが良いか)。

しかし、今回の中央公論での扱いを見ても、決して無視はできない(注目すべき)論客だと俺は見ている。

今回の「大学の敗北」(冒頭)にしても、どこかで書かれていたインターネット論にしても、さすがに齢70を越えているだけあって、非常に深く考察された言葉を書かれる方だと思う。加えて、ユーモア(毒舌)もある。

養老孟司には、不勉強な編集者を「勉強しなおしてこい」と叱りつけたエピソードもあり、取材対象としては、決して良い人物とは言えないが(苦笑)、俺のように、養老孟司の文章が載っているからという理由で、今月号の中央公論を買った人は案外多いのではないだろうか。

いずれにしても、貴重な「ご意見番」なのである…(笑)