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[書評]水村美苗、日本語が亡びるとき

2008 年 12 月 22 日 月曜日

日本語が亡びるとき

 水村美苗と言えば「本格小説」というエミリー・ブロンテの「嵐が丘」へ向けたオマージュとしての作品を少し読んだことがあり、これまた日本初のバイリンガル小説である「私小説」など海外の文学に縁の深い作家、というイメージがあったが、この本を読むと、彼女と海外の縁の深さが納得できる。

 以前に何かの雑誌で、本の読み方について、精読派、濫読派、再読派があるなら自分は間違いなく再読派だ、と言っているのを読んだことがあるが、俺はその「再読」というものに、言葉を身に付けるヒントを見たものだった。

 今回のこの本は、言葉に関する「評論」である。文芸評論家の斉藤美奈子はその内容を極端だと評したが、この際内容を別に置くなら、この本は素晴らしい「小説」だと思う。俺がそう思うのには、二章途中までしか読んでいないという事情もあるのかもしれないが、とにかく「評論」として書かれた文章が素晴らしく「小説」の文章なのである。

 内容としては、近代文学の勧めや教育に対する提言などが為されているということだが、この際俺は、しつこいくらいにその内容ではなく文章を味わって欲しいとオススメする。彼女の主張が正しいのかどうかを別にしても、彼女自身が持って余るほどの「日本語」を身に付けているのである。最後まで読んでいない俺が言うのも何だが、この本に関しては、内容云々を言うのは野暮というものではあるまいか。

 どうかそこにある「最高の日本語」を、じっくり味わって欲しいと思う。