平野啓一郎の名前を最初に目にしたのは、おそらく、夏の「新潮文庫の100冊」でだった。「日蝕」という作品は、当時23歳だった平野氏が、史上最年少で芥川賞を受賞した作品だ。「読めない漢字だらけ」という友人の評価がどれだけ的を得ているかは別にしても、俺自身平野氏に興味を持つことはなかった。
少なくともこの「当時」には。
昨日2冊の本を買った。平野啓一郎初の「エッセイ集」と「対談集」だ。先日この2冊が書店に並んでいるのを見た時、「これは無視できないな」と、正直思った。
少し前に、梅田望夫氏との対談、「ウェブ人間論」が上梓されてから、平野啓一郎は明らかにその存在の大きさを増して来た。とは言え、「若き文豪」と言われながらも、所詮は文学界の中だけの人であることに変わりはないのだが、他分野との関わりで社会的認知が広まったのは確かだろう。
いや、そんな事実を持ち出すまでもないのかもしれない。これは、ただ単純な、文学に対する俺の興味から来るものなのかもしれない。所詮は、「文学界の中だけの人」なのだから。
高橋源一郎は、平野啓一郎を、「現代の芥川龍之介」と呼んだ。かつては嫌っていた人物に「塩」を送る気は決してないが、最後に一言問うてみたい。
平野啓一郎は、本当に「文学界の中だけ」の人なのか?




