
3月10日、水曜日、天気は、雨。
神戸三宮からさらに地下鉄で数駅、和田岬という駅から歩いて5分、パン屋横の路地を少し入ったところにその事務所はあった。よく目を凝らさないと、うっかり見落としてしまいそうなドアに、阪神淡路大震災1.17希望の灯り事務局、とプリントされた紙が、貼り付けられていた。
行こう行こうと思いながら、時間だけが過ぎ、ようやく重い腰を上げたのはいいが、それでも渋ったのか、現地到着はすでに午後4時半を回っていた。
ドアの向こうの狭い階段を上り、薄暗い2階にある本扉(だった)をノックすると、はあいと言って出てこられたのが、当NPOの元理事長、白木利周さんだった。
「ちょうど帰ろうと思っていた」、そう言って笑う白木さんは、何も言わずにいきなり訪れた俺に、快く話を聞かせてくれた。
…とまあ、日記調に書いていると、何だかとてつもなく長くなりそうなので、やめておく(苦笑)
本当を言うと、この日はあいさつ程度で、時間も遅いのでまた後日、訪れようと思っていたのだが、団体の活動を中心に(俺が訊いた)、懸命に話してくださる白木さんの話に、ついつい俺も質問など投げ掛け、結局一時間以上話し込んでしまった。
こういう場合にノートは取るべきなのかと迷ったが、結局一部を除いては、書くことはしなかった。この点の見極め、対応の仕方などは、これから、自分の方法を見つけて行ければと思っている。


さて、内容だが、HANDSのことに関しては、ちょっとしたお土産程度に資料(本も)をいただいてきたので、それを読めばいいとして、今回の収穫は、俺が現時点で最も知りたい、震災当日の詳細(天気など)と、テーマに深く関わる「心のケア」に関する情報が、得られそうな場所を紹介していただいたことだ。
それにしても俺、こういう飛び込み取材(?)が好きだなあと思う。前もって、日時や場所を決めて臨む取材より、その日その時の出会いから始まる取材。何とも言えない醍醐味がある。雰囲気も、作りやすいしね。
名刺を交換して、「また来てください」と言ってくださり、俺も「また来ます」と言って別れた。本当に必要ならば、また、訪ねることになるだろう。

さあ、ようやっと一歩を踏み出した感じだ。ノンフィクションの取材とは、多分、こうした出会いの繰り返しの中から、自分のテーマの「形」も見えてくるものなのだと思った。これからも、決して速くはないが、マイペースで、一方で勉強もしながらも、取材を続けて行きたいと思った。




